①漢方薬の歴史
漢方薬は今から2000年ほど前、中国で誕生しました。自分でいろいろな草を食べて、その効能を実践した皇帝が
いたり、丁度春秋戦国時代という戦いの時代で、傷つく兵士も多く伝染病がはやり、そんな背景で生まれたよう
です。
日本には、生薬としては奈良時代に伝来していましたが、理論として漢方薬が確立するのは室町時代くらいで、
中国とは異なった独自の漢方薬として発展していきます。
かつては漢方薬といえば木の根や葉などをぐつぐつ煮出す、煎じ薬が主流でしたが、漢方メーカーが飲みやすい
散剤、顆粒剤・顆粒剤などを作り、昭和42年に初めて薬価収載され、昭和50年から徐々に数が増えていきました。
現在では、148処方、848品目が保険適用になっています。
それまであまり漢方薬を信用していなかったドクターや一般の方々も、これにより漢方薬に関心を持つ人が増えて
いきました。
②煎じ薬について
漢方薬といえば基本は煎じ薬です。植物の根、葉、実を乾燥して刻んだものや鉱物を砕いたもの、まれに動物の
内臓なども使います。そのそれぞれを生薬と言いますが、必要な生薬を適量組み合わせて作ります。1日分を
約3合の水に入れ、半分になるまで煮詰め、それを1日で飲みます。冷蔵庫で保存する場合は、飲む前に少し
温めます。
③散剤・顆粒剤について
漢方薬の基本は煎じ薬ですが、煎じ薬は作るのに手間がかかり、味も非常に飲みにくいものが多いです。
そのため、続けることが困難な場合もあります。それを解消するため、各漢方メーカーがエキス剤を作りました。
メーカーによって散剤、細粒剤、顆粒剤と粒の大きさによる違いはありますが、入っている成分の量はほぼ同じ
です。
基本的には各一包を1日3回服用します。飲みにくい場合はオブラートや服薬ゼリーを使ってもかまいません。
煎じ薬よりは効果は落ちますが、作る手間や飲みにくさは煎じ薬より楽です。
④漢方薬の特徴
漢方薬は天然の植物や鉱物などから作られた言わば自然の物です。ですから、人体に作用する反応も自然のまま、
ゆるやかに効果を現します。対して病院の薬は合成物ですので、作用が急で副作用もひどく現れます。漢方薬の方
が効き方はゆっくりですが、副作用を起こすことが少ないのです。また、病院の薬が無理矢理症状を抑え込んでい
るのに対し、漢方薬が効くときは原因を取り除いているので、薬をやめた後も再発しにくいです。漢方薬を一度
飲んで症状がなくなった人は、来年また症状が再発することが少ないです。また病院の薬が検査によって病名を
決められた後に処方されるのに対し、漢方薬は病名が決まってなくても、症状により処方することができます。