梅雨が明けたかと思ったら、急に気温が上昇してきました。熱中症が気になる季節がやってきましたが、皆さまはお変わりないでしょうか?今回は、熱中症の話をしようと思います。
熱中症とは高温多湿な環境下で、体内の水分やミネラルのバランスが崩れることによって、調節機能が壊れて発症する障害のことをいいます。炎天下の運動などで発症しやすいことが知られていますが、高齢者が熱帯夜にエアコンを使用せずに、寝ているうちに発症することもあります。
〔熱中症の原因〕
熱中症の原因は体温が上昇して体温調節機能のバランスが崩れ、体内に熱が溜まってしまうことです。体温が上昇した場合、人体は適度な体温を維持するため、汗をかいたり皮膚温度を上昇させたりして熱を体外へと放出します。この機能が損なわれることで、熱中症が生じます。
・気象条件(気温が高い、湿度が高い、風が弱い、日差しが強い)
・高齢者及び小児(65歳以上15歳未満)
・持病がある(心疾患、肺疾患、精神疾患、高血圧、糖尿病、認知症など)
・肥満
・暑い日の日中の行動(激しい運動や慣れない仕事、長時間の野外作業、水分摂取の機会が少ない)
など。
〔熱中症の症状〕
軽度
・めまいや立ちくらみ、顔のほてり
・筋肉痛や筋肉のけいれん、足がつる
中等度
・倦怠感や吐き気、頭重、頭痛
・汗のかき方の異常(何度拭いても汗が出る、
もしくは まったく汗が出ない状態)
重度
・体温が高く、皮膚が赤く乾いている
・呼びかけに反応しない、おかしな返答をする
・まっすぐ歩けない
・自分で動けない
〔熱中症の治療〕
①水分補給
熱中症の基本の治療は、体の熱がこもりにくい環境に避難したうえで、水分や電解質、糖分を摂取することです。
患者本人が接種できれば、経口補水液(OS-1など)を飲用し、無理なら病院へ連れて行ってもらい点滴してもらう。
②冷却
・涼しいところへ移動させる。
・全身に氷を当てる。
・ぬるま湯を皮膚に吹きかけて扇風機で送風する。
・脇の下や足の付け根に氷や冷たいペットボト
ルを当て、体温を下げる。
〔予防〕
・外出するときは日傘や帽子を使用し、日陰に入ってこまめに休憩する。
・屋内では、エアコンや扇風機で室温を調整する。
・こまめに水分を摂る。イオンバランスが調整された飲料(ポカリスエットなど)をこまめに飲む。
〔漢方薬では〕
・白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)
体内の熱を下げることにより、熱中症の症状を改善します。熱が上がりそうなときに、早めに飲むと体を冷やします。
・五苓散(ごれいさん)
水分代謝を調節することにより、口の乾きや 頭痛、発熱を改善します。
・竹葉石膏湯(ちくようせっこうとう)
風邪が治りきらず、咳や熱が残ったときなによく使いますが、熱中症にも使います。
白虎加人参湯が合うが弱っていて使いにくい人や、白虎加人参湯を飲んだあとにまだ体力が回復しないときに使います。
いろいろ注意して、楽しい夏にしましょう。